相続遺言判決実例集…(大阪高決・昭和40年11月9日家月18巻5号44頁)


  • (大阪高決・昭和40年11月9日家月18巻5号44頁)
 

(大阪高決・昭和40年11月9日家月18巻5号44頁)


 (大阪高決・昭和40年11月9日家月18巻5号44頁)

「……相手方が瀕死の床にある父Aに対し,これを非難するごとき前記言辞を弄したことは,理由はともあれ穏当を欠くものというべく,相手方はこのことを十分反省する必要があるといわなければならない。しかし,他方,Aにおいて前記敷地につき前記売買がすでに成立している事実を全く無視し,あたかも相手方がBと気脈を通じて無理にでもこれを手に入れようと策動しているごとく勘繰った発言をしたことが日頃Aを信頼していた相手方の気持をひどく傷つけ,相手方も昂奮の余り,いわゆる売り言葉に買い言葉のたとえをそのまま同人に対し右非難の言葉を思わず口にしたというのが実情であって,その証拠に,相手方は,右以外には同人に対し非難がましいことは述べていないのであるから,この点恕すべきところなしとしない。これらの事実に照らし,相手方の右言辞を目して被相続人たる同人に対する民法892条所定の『重大な侮辱』に該当するとなすことは相当でないといわなければならない。もつとも,相手方が右のとおりAと感情的に対立したことがあって以来同人を見舞わなくなったことは前記認定のとおりであるけれども,両者の和睦をはかるような尽力のなされた形跡の全然見当らない本件においては,相手方として気まづい思いのまま同人を見舞うことをためらったものと考えられ,これが前同条にいわゆる『虐待』ないしは「著しい非行』にあたると速断することは許されないものというべきである(抗告人ら引用の各大審院判例はいずれも本件に適切であるとはいい難い)。そうであれば,Aのなした前記廃除の遺言は,これがなされるに至った前記経緯ならびにその内容等に照らし,Bに関する部分は格別,相手方に関する部分は一時の激情Iこかられてなされたものであり,廃除原因を欠くものといわなければならない。」

 


 

 


 

 
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